大判例

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東京地方裁判所 昭和55年(レ)124号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

【判旨】

二そこで民法七〇四条につき、過失相殺の規定(同法七二二条二項)を類推適用できるかどうかの点を検討する。

不当利得制度は、他人の財産・労務から、その損失において「法律上の原因」なくして受益した者がある場合に、受益者(利得者)をして、損失者に対し、取得した利益を返還せしめる制度であり、その直接の目的とするところは受益の返還である。同制度が損失者の損失を要件としているのは、受益者が取得した利得を返還せしめるための前提をなすものにすぎず、被害者の被つた損害の填補を直接の目的とし、被害者側に発生した損害に重点をおく不法行為制度とその構造を異にするものである。そしていわゆる過失相殺の本質は、損害の填補を直接の目的とする不法行為の分野において、公平の見地からみた妥当な賠償をさせることにあるのであるから、利得の返還を直接の目的とする不当利得制度においては、損失者の過失の有無を問題とする余地はなく、従つて過失相殺に関する民法七二二条二項を類推適用すべきものではない。

(仙田富士夫 日野忠和 黒岩巳敏)

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